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愚者(The Fool)

目次

自分の経験を信じて自由気ままな旅が始まる

このカードは、次なるステージにステップアップする時に必要な「好奇心」や「無鉄砲さ」を象徴しています。一般常識に囚われない自由な心を持った少年には無限の可能性が秘められています。さあ、未知の世界に向かって旅立ちましょう。

キーワード

正位置 – Upright –
好奇心/自由きまま/旅立ち/スタートライン/冒険/大胆/未経験/非凡/熱狂/盲信/信頼/未熟/清らか/無邪気/無鉄砲/「0」/純真無垢/成長の機会/心機一転/精神的探求/イニシエーション/直感力/理想主義/可能性
逆位置 – Reversed –
愚行/狂乱/愚考/未成熟/軽はずみ/初心者/無知/平凡/無計画/無責任/放浪/未熟/騙されやすい/奇行/放浪者/無鉄砲/KY/気分屋/適当/不安感/混乱/放浪者/物乞い/支離滅裂
英単語
Wisdom of innocence. Beginnings. Innocence. Originality. Trust. Annulment of reason. Frivolity. Lack of discipline. Ecstasy. Delirium. Cartoons. Clowns. Mime. Madness. Imagination. Youthfulness. Hope. Comedy. Fun. Lack of social grace. Thoughtlessness. Folly. Extravagance. Immaturity. Opportunity. Irrationality. Frenzy. Enthusiasm. Naiveté.
人物像
ユニークで明るく根拠もないのに前向きな放浪者。放浪者。少年。

ケース別キーワード

case正位置逆位置
恋愛付き合っているかわからないけど楽しい相手/交際に対して無責任/個性的な相手/新しい恋の始まり/無鉄砲な恋/新しい魅力を発見/結婚の道のりはまだ遠い/夢中になる/直感による行動が吉 先のことはわからないけどとりあえず付き合う/あまり面白くない相手/今は恋愛以外のことに胸を踊らせている/理性を失うような恋/熱しやすく冷めやすい/気まぐれな恋
仕事未経験の仕事にチャレンジ/自由な勤務形態/責任感が薄い人/個人プレーが向いている/0から1を生み出す仕事/個性を生かせる仕事/フリーランス/マニュアル重視は避けるべき 知識や経験が足りないことに気付かされる/定職につけない/無計画からの失敗/意欲はあるが能力が追いついていない/アルバイト/目標を見失う/タイムオーバーになる
その他始まりの予感/無限の可能性/フットワークが軽い/既成概念にとらわれない生き方/ダイヤの原石/旅行の計画を立てる/自由きままに生活する/空想好き/実験を楽しむ/今を生きる/新たな可能性を受け入れる 地に足がつかず目標が定まらない/根気が足りない/覚悟がない/準備不足/計画性の見直し/知らぬ間に危険な道にいることに気づく/スタート地点を振り返る必要性/落ち着きがない/足るを知る/早まった行動/非現実な行動/無益な計画

正位置での意味

愚者の正位置は、始まりの時を意味し、人生の局面において勇気をもって踏み出すことの大事さや、新しい世界に飛び込むという行為が直感的(計画性は乏しい)であることを象徴しています。

愚者の正位置は、思い込みや先入観を捨てて、自分の経験を信じて新しいことにチャレンジすることを示唆しています。一般常識にとらわれない自由な心を開放して、どんな困難が待ち受けていたとしても進み続ける覚悟を持って、未知の世界に飛び込む勇気を持ちましょう、と伝えています。

周囲の目や意見に流されていては、自分らしさは上手に表現することができません。まだ顕在化していないだけで、あなたには無限の可能性が秘められています。そのことに無意識に気づき始めているのだとしたら、まずは自分の無意識からくるワクワクやドキドキの感情を信じて道を選択することがいい結果につながるでしょう。ただし、見切り発車過ぎるとトラブルを引き起こし、目標を遠ざける可能性がアップするので、事前に下調べをしたほうがいいでしょう。また、あなたが今から始めようとするチャレンジは、途中で引き返すことが難しくなりそうです。そのため、予め覚悟を決めることも重要になります。自分を信じて自分らしく一生懸命打ち込んでいけば、支援してくれる人も現れるでしょう。

このカードは、”知識がない、経験が浅いこと”がかえって純真無垢な心や好奇心を育てることを意味します。そのため、新しいことを始めるには経験が不足していると、後ろめたさを感じたり後退りする必要はありません。純粋に自分の好きなこと、関心があることを始めてみましょう。”好きこそものの上手なれ”という感覚で可能性を広げていきましょう。

リーディング例

愛に関して占った場合
愚者のカードは、ロマンスを始めること、または今の恋人との新しい段階に進むことを意味します。 ソウルメイトに会ったかのように、新しい出会いに「運命」を感じるかもしれません。この喜び、開放感、興奮している今を楽しみましょう。また、直感に従うことで理屈じゃない恋が楽しめそうです。お互い自由気ままで束縛を嫌う恋になりそうです。自由にのびのびとしていたほうが、自分の良さをアピールできます。
勉強や仕事に関して占った場合
愚者のカードは、新しい仕事、プロジェクト、またはビジネスベンチャーの始まりを示唆します。 新しい知識を身につけるために勉強を始めることや、どこか新しい地域へ出張することを意味する場合もあります。 あなたは新しい方向へ向かうことと、向かった先で待っている無限の可能性に出会うことを楽しみにしているようです。心を開いて機会を受け入れましょう。このカードは、好きな仕事に飛び込んでいきたい気持ちが膨らんだり、独創性を生かして才能が開花する暗示です。
お金に関することで占った場合
愚者のカードは、相手を信頼しすぎているかもしれないし、お金の問題に関しては無頓着すぎるかもしれませんことを示唆しています。 このカードがお金を占った時にでた場合、あなたの懐事情は決して安定している状態とは言えないでしょう。また、このカードは、ビジネスや投資を新たに始めようとしていることも暗示します。もし始める場合は、ある程度事前知識を知っておくべきです。 打算的に動くより、純粋な気持ちを信じて直感で動いた方がいい結果に繋がる暗示です。

逆位置での意味

愚者の逆位置は、自分の直感を信じられなくなっている状態を意味しています。目に見えない恐怖に立ち向かうために、周囲の意見や噂を鵜呑みにしてしまい、あなたの個性が失われてチャンスを逃してしまう暗示です。

別の意味としては、上述した意味と矛盾してしまうのですが、見切り発車で無謀な挑戦をしてしまうことによる失敗を示唆している可能性があります。無意識に、世の中を小馬鹿にし、世間を甘く見ていることが無謀な行動に走らせているのかもしれません。覚悟もないまま、その場限りのエンターテイメント性を求めて突飛な行動に出てしまうと、周囲を混乱させ迷惑をかけるだけになってしまいます。

自分の経験が不足していることが原因で、表面的な部分だけを見てしまっていませんか?物事を深く掘り下げることができず飽きっぽくなっているなら、もっと物事の深い部分を知ろうと努力する必要があります。一度始めたことを簡単に投げ出して、時間や資源を無駄にしているなら、責任感や根気強さを思い出す必要がありそうです。

愚者が逆位置で出た時は、自分の無力さを知り、注意深く周囲に目を向け冷静になる必要があります。今からチャレンジしようとしている目標が実現可能なことか、計画を見直す必要はないか、今一度踏みとどまって見直してみましょう。

また、このカードは、あなたに「これまでの考え方にこだわらず、立体的な視点を持つようにしましょう」というメッセージを投げかけています。視野を広げることで、今まで気づけなかったことに気づけるようになるかもしれません。「自分はダメだ」などのマイナス思考は状況を悪化するだけです。前向きな姿勢が嬉しい展開に導いてくれるでしょう。

リーディング例

愛に関して占った場合
愚者の逆位置は、長続きしない恋やその場限りの恋を暗示することがあります。気まぐれな相手に振り回されてしまう可能性もあります。もしくは、パートナーとの関係を見直すいい機会であることを告げています。パートナーとの関係を整理しようと決意することで、あなたは自由を手に入れることができるかもしれません。ただし、行動する前にじっくり考えてください。急いで別れを選択してしまうと後悔だけが残ります。
勉強や仕事に関して占った場合
愚者の逆位置は、仕事や勉強以外のことに気を取られてしまい、やるべきことに集中できていないことを示します。また、現職において行き詰まりを感じているか、あるいは飽きてしまっていることを表します。今こそ新しいことに挑戦スべきじゃないでしょうか。検討したときにワクワクする気持ちがこみ上げてくるのなら、挑戦することを視野にいれて検討しましょう。 ただし、焦りは禁物です。事前に十分な情報収集を行ってから、可能性を探りましょう。情熱や思いつきだけで突っ走ると思わぬ落とし穴にハマりそうです。
お金に関することで占った場合
愚者の逆位置は、浪費や損失に関する警告を促します。決断を下すためには、もう少し十分な根拠を揃えてからにしましょう。衝動的な行動は破滅につながる可能性があります。また、誰かがあなたの純粋な心に付け入って、利用しようとしているかもしれません。逆位置の場合、あなたが動揺している、またはお金の問題について過度に慎重であることを意味する場合もあります。

カードを読み解くポイント

愚者は、何色にも染まっていない、何者にもなっていない青年です。そのため、このカードが出た時は、具体的なことが明確に決まっていない状況や、目的も定まっていない可能性を示します。とても危なっかしい印象を持ちますが、それと同時に無限の可能性があるとも受け取れます。

愚者は、物事に対して無知・無意識すぎるため、大人の目には愚かに映るかもしれません。気づいた時には崖っぷちの状況に追い込まれているかもしれません。経験不足が故に相手を理解しきれず、幼稚な考えにとらわれてしまうこともあるでしょう。

その一方で、誰の思想にも染まっておらず、自分の未来を無限に創造していける可能性と純粋な好奇心があります。既成概念や一般常識にとらわれることなく、のびのびと振る舞うことができます。このカードが出たのなら、これまでの凝り固まった価値観や経験則は忘れて、初心に戻り、物の見方を180度変えてみましょう。きっと今まで気づけなかった可能性や予想だにしなかった未来が見えてくるでしょう。

カードの意味を更に深く考察

人間は強い好奇心を抑えきれず、その先にあるリスクや恐怖を覚悟しないまま、愚かにも突発的な行動に出てしまうことがあります。平和な日常に満足して留まることができれば 安全に暮らしていけるのに、ルーティーン化された退屈な毎日を抜け出したいという欲求が生まれてしまいます。そして、社会のルールから外れた未知の世界に足を踏み入れようとしてしまう。そんな経験は誰にだってあると思います。愚者(The Fool)のカードは「自由で完全な精神」や「トランプのジョーカー」として象徴されることがありますが、もっと掘り下げていくと、「退屈するくらいなら危険を犯しても良い」という”本能的欲求”を持っています。

新しいことを始めようとする時、誰しも、その先に待ち受けている困難をリアルに想像できないものです。逆に知りすぎてしまうと、チャレンジ精神にブレーキを掛けてしまうことがあるので、あえて知ろうとしないこともあるでしょう。ある程度のリスクを想定することができたとしても、全てを知った上で未知の世界に足を踏み入れることはなかなかできません。そんなときは、この愚者のように、多少計画性がなくても、衝動的な好奇心や、その時感じた直感で行動を起こすことも大事になります。

愚者の原型は、ルール化された宗教の中ではなく、神話やおとぎ話(ディズニー)などの中に多く見られます。ルールや法律で守られた社会においては、ルールや法律を守ることで安全を約束されます。しかし、神話やおとぎ話の物語では「この部屋を覗いてはいけない(美女と野獣)」や「お前は舞踏会へは行かず掃除をしてなさい(シンデレラ)」など、自分の欲求を押さえ込み、自由を縛ろうとする”ルール”を破ることからストーリーは展開していきます。他にも、愚者のようにピエロ的な登場人物は、裸の王様など、精神的に未熟な権力者に対して辛辣な一言を放ったり、甘い誘惑やトラップを仕掛けてきます。普段誰かに叱られたり注意されることがないような権力者たちは、どうしても自己中心的でわがままな性格になりやすいのです。愚者は、そんな人物に対しても怯むことはありません。現代で愚者の役割を果たしているのは「芸人」や「コメディアン」でしょう。大物俳優や芸能界の大御所を相手に、核心へ迫るような質問やツッコミを平気な顔で投げかけます。世間の代弁者としてスバスバ言ってくれるのは見ていて気持ちいいしスッキリしますよね。

愚者は、トランプの世界ではジョーカーとして位置づけられていて、カードゲームでもワイルドカードとして扱われることが多々あります。これは、デッキ上でも言えることで、どのカードと並んでも馴染むことができるのです。愚者は、静止した世界に命を与えることができるエネルギーそのものであり、どの段階へステップアップする場合にも、“未知の世界へ踏み出す第一歩”が期待されます。7.戦車から8.力へ、14.節制から15.悪魔へ・・・それぞれのカード間のギャップを恐れずに踏み出すには、愚者の身軽さと無邪気さが必要なのです。どんな困難が目の前にあろうとも、愚者のカードは前へ進むために背中を押してくれます。

ウェイト版の絵柄から読み解く

愚者は、黒い棒にバッグを吊るしています。この黒い棒はワンドを象徴していて、小アルカナのワンドに深く関連しています。さり気なく持っているので、気を抜いたら見逃してしまいそうです。ぶら下げているバックは「経験」を意味していて、そのバックにはワシの絵が描かれています。このワシは本能が高次元へと上昇することを示唆しています。高次元に続く本能の経験を棒にぶら下げて担いでいるなんて、小馬鹿にしている感じがいかにも愚者らしくもあります。もしくは、愚者本人は、そのことを認識していない可能性もあります。他の大アルカナのカードにも、ワンドの棒は登場しますが、1.魔術師7.戦車のカードではワンド「を持っていますよ!」と言わんばかりに掲げているので気づきやすいでしょう。この2枚のカードは、情熱ややる気、エネルギーがみなぎるカードです。21.世界のカードにもワンドは登場していて、ダンサーがさり気なく2本持っています。”さりげなく”持つことの意味としては、愚者と同じく「無意識」を意味しているのでしょう。

愚者は、白いバラを持っています。白は「純粋さ」や「平和」という意味があり、バラは「情熱」を表します。愚者の楽観性や勇気は、純粋な好奇心と平和を願う情熱があるおかげです。

愚者が着ている服は若干みすぼらしくもありますが、失うものは何もないという心からの身軽さを表しているのでしょう。左の方向に向かっているのは、自分のスタート地点への回帰を意味しています。

ただ、気づいているのかいないのか…足元には荒波と崖があり、犬が愚者の足元で警戒を促しているようです。波乱を予感させつつ、これまでの経験を自信に変えて、無邪気な冒険が今始まろうとしています。見ているだけでワクワクするカードです。

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