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吊るされた男(The Hanged Man)

目次

忍耐と試練のその先に気づきや喜びがある

このカードには、エネルギーみなぎる大樹に括り付けられた男性が描かれています。穏やかな表情や中途半端な拘束の仕方からも、世の中を違う目線でみるために自らが進んでこのような状態になっているようにも見えます。身動きがとれない状況でも自分にとって必要な気づきが得られる暗示です。

キーワード

正位置 – Upright –
自己犠牲/試練/忍耐/受け入れる/好機を待つ/現状維持/奉仕/ひらめき/見方を変える/大義のための犠牲/一時停止/仕える/降伏/献身/利他主義/信頼/先験的な思考/手放す/損失/屈服/無力/後退/斬新/模索
逆位置 – Reversed –
骨折り損/苦痛/限界/我慢の限界/無駄な犠牲/マゾ/忍耐/妄想/利己主義/粘着質/逆転/停滞/遅延/反逆/被害者ぶる/被害妄想/不安/幻滅/服従/悩み
英単語
Letting go. Overcoming obstacles through devotion. Surrender. Peace of mind. Prudence. Insight. Life in suspension. Transition. Seeing things from a different perspective. Change. Abandonment. Renunciation. The changing of life’s forces. A still point between dramatic events. Sacrifice. The approach of new life forces. Unwillingness to make any effort or to give of oneself. Ego-tripping. False prophecy. Useless sacrifice. Playing martyr to manipulate others.
人物像
あるがままを受け入れて耐え忍ぶ人。禁欲的な人。

ケース別キーワード

case正位置逆位置
恋愛束縛されることで愛を感じる/片思いでも飽きられられない恋/献身的に尽くす恋愛/相手を信じて待ち続ける/健気な恋愛/振り向いてもらうまで頑張る/苦しいほど相手を想う/根気強く待つことが成就につながる/無性の愛 束縛が過ぎてうんざりする/諦められず思い悩む/辛くても報われなくても執着してしまう/依存しあう関係/尽くしても無駄な相手/過干渉になる/尽くす価値のない相手/相手の無神経さに傷つく
仕事行動するより考える時/現状維持を心がける/肉体疲労はあっても気持ちは満たされる仕事/献身的に仕事に取り組む/ボランティア活動/見返りを求めない仕事/下積み生活の末成功する/持続力が成果につながる サービス残業/頑張りが報われない職場/辞めたいのに辞められない/肉体的にも精神的にも限界を感じる/ストレス過多で体調を崩す/信用を失う/苦手な仕事を強いられる/八方塞がりで行き詰まる
その他耐えたほうがいい時期/流れに身を任せる/独自の視点を持つ/斬新な捉え方ができる/保留にされている状態/どっちつかず/曖昧な/宙ぶらりん/待ち続ける/負ける勇気が必要/罰を受ける/視点を変える必要性/辛い状況を耐え忍ぶ/アイディアがひらめく/手の内を明かす/降参する/依存と共存/自己犠牲をいとわない/執着を手放す 身動きが取れない/周りに伝わらない努力/我慢の限界に達する/精根尽き果てる/現実逃避する/ストレスによる体調不良/罪悪感が自分を制限する/自己価値が低く卑屈になる/執着を手放せない/見て見ぬふりをしてしまう/努力や頑張りが報われない/周囲を考慮せず自己主張する

正位置での意味

吊るされた男の正位置は、自分のことを二の次にして誰かのために尽くすことや、身動きが取れない状態を表します。今は自分の気持ちをセーブして正解のときです。むやみに動こうとせず、この状況に乗じて充電期間をとりましょう。人生生きていると、自分の力では動かせないこともあります。そのことを受け入れて、状況に変化が出るのを辛抱強く待ちましょう。動けるようにまるまでは、自分の中でアイディアを練ったり、人に尽くす時間に充てましょう。見返りを求めない言動がこの先何倍にもなって自分に跳ね返ってきます。

じっとしていることが耐えられない時は、自分の気持ちをコントロールすることを意識して、自分のための活動ではなく自分以外の誰かのためになる活動をしてみましょう。そうすることで焦りの気持ちも解消され、充実感を得られます。ただし、誰彼かまわず尽くすのではなく、尽くす価値のある人かどうかは見極めたほうが良さそうです。誰に対しても尽くしていると、”お人好し”のレッテルを貼られ、うまいように利用されるかもしれません。

また、このカードは、自分の利益のために行動することよりも、自我を捨てて人のために行動することが良い時期だと伝えています。それは、物事を違う視点でみるためにも重要なことです。自我を捨てることで、今まで見えなかったことが見ててきたり、斬新なアイディアが浮かびます。自分のやりたいことを見つけられなかった人も、誰かに尽くすことで明確になることがあります。自分のやりたいことではなく、自分が人にしてあげて喜ばれることは何か?を考えると、今やれることが明確になります。

行動したことがすぐ結果に結びつく時期ではないので、結果を期待してしまう人にとっては”試練”に感じるかもしれません。また、思うように身動きがとれない状況に対して苛立ちが募ることもあるかもしれません。ただ、そう感じてしまうのは、自己中心的な考えがあるからではないでしょうか。誰かのためを思うことができれば、辛さは感じないことがほとんどです。このカードは、他者に尽力することで得られる喜びや充実感を意味します。自分の利益を追求するよりも、他者への貢献度があなたの幸福度を高めます。

リーディング例

愛に関して占った場合
吊るされた男の正位置は、相手に尽くすこと、じっと耐えて待つ姿勢が恋の成就につながることを意味します。長い片思いの末に気持ちが伝わり、ハッピーエンドになる可能性もあります。あるいは、相手への執着を手放し、束縛からお互いを開放する必要があることを示すこともあります。また、無性の愛を貫くことで相手が振り向いてくれることも暗示します。一方、あなたにとっていい影響を及ぼさない相手なら関係を断ち切って自由になるべきだと伝えています。
勉強や仕事に関して占った場合
吊るされた男の正位置は、物事に対する見方を変えることの必要性や、いい結果を得るにはもう少し時間がかかることを表します。あるいは、下積み時代を経て成功の道が開けることを意味することもあります。このカードが出たら、時間をかけて、長期的に継続することを心がけましょう。また、人物が逆さまになっている絵柄から、固定概念を脱して新しいやり方や考えで物事を見ることをすすめる場合もあります。もしくは、不屈の精神が達成感をもたらすことを示します。
お金に関することで占った場合
吊るされた男の正位置は、金銭的・物質的な欲をなくして生活することを意味します。あるいは、何か損失があったとしても耐え凌ぐことができることを意味します。このカードはあなたに、投資は長期的な計画の方がうまく行きそうだと伝えています。また、ミニマリスト的に現実的なものを削ぎ落として生活をすることや、お金についての考え方を変える可能性を表します。お金への執着を手放することを表す場合もあります。

逆位置での意味

吊るされた男の逆位置は、自己中心的な言動で自分の首を絞めてしまうこと、努力や頑張りが報われない状況に失望していることを表します。”ダメなものはダメだ”と諦めて割り切る気持ちが必要な時かもしれません。あるいは、他の可能性を探るために、ものの見方を変えてみると打開策が見つかるかもしれません。また、スランプ的な状況に陥って物事が進まないなど、辛抱を強いられる可能性も示唆します。

ならびに、内なる自分との葛藤を意味することもあります。現実を受け入れられない自分、これまでの考えを否定しようとする自分…その葛藤を生むのは「自我」です。その自我を取っ払って、自分以外のことに目を向けて人に尽くすことで何かが見えてくるかもしれません。

もしくは、幻想にしがみつくあまり、明確なビジョンが浮かばないことを暗示します。必要な犠牲を払わずに前に進もうとすると、さらなる損失は免れません。まずは目の前の状況を受け入れて、払うべき代償があるのなら自ら進んで払うことをオススメします。今は自分の主張を通すことよりも、人を優先してあげることの方が大切なときです。

吊るされた男の逆位置は、毎日がつまらない、退屈だと感じている時に出ることもあります。やりたいことがあるにも関わらず、止む得ない状況で停滞しているかもしれないし、自分のやりたいことがわからず途方に暮れているかもしれません。先が見えない状況にイライラは募るばかりだとしても、この苦しみはあなたを精神的に成長させてくれる大事な時間でもあるのです。今は、人の意見に耳を傾けたり、自分の視野が広がるような活動を心がけてください。吊るされた男の逆位置は、焦って決断を出そうとすることへの警戒も表します。あせらず、辛抱して時を待つことが大事なときです。

リーディング例

愛に関して占った場合
吊るされた男の逆位置は、相手を束縛してしまったり、過干渉になってしまうことを表します。もしくは、マンネリした関係を放置して変化しようとしていない様子を表すかもしれません。あるいは、尽くしても手応えのない相手に対して無駄に時間を浪費している可能性もあります。相手との関係を精算してしまうと、今までの生活が崩れてしまうのではないか?と不安になっているのでしょうか。このカードは、今の状況や執着を手放すことができない状態を表すこともあります。尽くす価値がない相手に尽くしてしまい、もったいない時間を過ごしているのなら、勇気を出して執着を手放してみましょう。
勉強や仕事に関して占った場合
吊るされた男の逆位置は、消極的な態度が周囲にやる気がないと思われてしまったり、周囲の反感を買って信頼を失う可能性があることを表します。自分の方向性が明確になっておらず、指示を待つだけの状態でモチベーションが低くなっていませんか?このカードは、目の前の仕事に対して積極的な姿勢が保てていないことを警告することがあります。あるいは、好きではない仕事に”縛られている”と感じていることを示唆する場合もあります。また、自分に合った仕事を探そうともせずに、ただただ職場の馴れ合いの中にいる場合にもこのカードの逆位置が出ます。
お金に関することで占った場合
吊るされた男の逆位置は、資金繰りに追われて自転車操業のような状態に陥っていることを暗示します。あてにしていた収入が入ってこないことや、楽して稼ごうとしている様子を表すこともあります。あるいは、斬新なインスピレーションを必要とされているのに、既成概念やありきたりなアイディアにしがみつくことを意味しているかもしれません。過去に得た資産を手放さなければ損失に向かう可能性を示唆することもあります。

カードを読み解くポイント

吊るされた男のカードは、あなたが宙ぶらりんの状態に陥っていることを暗示します。前にも後ろにも進めない状況で、どう脱すれば良いのかわからず一時停止しています。この状況から抜け出すためには、一度リセットするつもりで自分の夢や目標を見つめ直す必要があります。そうするためには古い習慣や凝り固まった考えを柔らかくすることが大事です。

または、なにかの板挟みになっている状態を表すこともあります。どちらかがうまくいけばどちらかが悪くなる…など、身動きが取りづらいと感じるでしょう。このカードは”自己犠牲”という意味もありますが、さらなる飛躍のために小さな野望や過去の栄光を捨てるべきだ、というメッセージかもしれません。断捨離的な行動が道をひらくでしょう。そうすることで身軽になり、前に進むことができるようになります。

加えて、自分の価値観が揺らいで周囲から浮いてしまっていること、心理的にも物理的にも身動きが取れないことを表します。人物に例えるなら、禁欲的な人、自分を犠牲にしている人を表します。なお、このカードは視界が逆さまになっていることから、着眼点を変える、見る方向性を変えることの重要性も示唆しています。

カードの意味を更に深く考察

吊るされた男は、「T」の文字を形成する形で吊るされています。これは、エジプトの生命のシンボルである十字架の下半分(アンク十字)を表していてタウ十字とも言われているそうです。タウは21.世界のカードと関連しており、よく見ると21.世界の逆さまの姿は吊るされた男のポーズと似ています。また、カードナンバー12を逆さまにすると21になることから、吊るされた男のカードは21.世界のカードへ向かう中間地点であることを裏付けています。

吊るされた男は、吊るされていながらも穏やかな表情です。これは、生命を司る木に身を委ねることで、自分が過去に感じた感情や経験を開放し手放すことで、次のステップへ踏み出せることを知っているからでしょう。そのため、受動的に見える中にも心が満たされている様子を表情から読み取ることができます。このカードは、生命と深くつながっている感覚を象徴しています。

吊るされた男の交差した足は、逆さになった「4」の文字を表しています。11.正義でも解説していますが、「4」は地上や物質(意識)を意味しています。また、吊るされた男の両腕と頭の構図は下向きの三角形を作っています。「3」は精神性を意味しています。意識を表す「4」と無意識を表す「3」をかけ合わせるとカードナンバーである「12」になります。この2つが組み合わさることは、自由な精神が肉体という物質の中に取り込まれている、というふうに捉えることができます。

ちなみに、”12”という数は21のカードである21.世界だけではなく1.魔術師と「2.女教皇」のカードとも関連します。1.魔術師のワンドで受信したエネルギーを吊るされた男に注入しているという意味で関連し、「2.女教皇」とはどちらも世間から距離を置いて”内面的気づきを得る”という意味が関連しています。

ウェイト版の絵柄から読み解く

吊るされた男は、両手を縛られ片足だけが木にくくられています。もし裁きを受けているとすれば、あなたが裁きを受けることで多くの人が救われるでしょう。そのことがわかっているからか慈悲の精神からか表情は穏やかです。現状を受け入れ、諦めることで心が軽くなったのかもしれません。

彼は瞑想状態にあるのでしょうか。今の状況を耐え凌げば未来が明るいことを予感しているかのように、頭の後ろには光が輝いています。

彼が吊るされた木には緑が茂っており、自然エネルギー・生命力の強さを感じさせます。このことから、彼がただ刑罰を受けているわけでも、死刑にされているわけでもないことがわかります。片足と両腕は縛られていますが、体は縛り付けられておらず、靴を履いている点を見てみても、逃げ出そうと思えば逃げ出せる状態です。これは、自己啓発のために、彼が自発的にこの木に吊るされていることの現れかもしれません。

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