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隠者(Hermit)

希望を胸に暗闇を静かに進む隠者

このカードには、薄暗い道をランタン片手にゆっくり歩く老人が描かれています。この老人は物事の集大成を迎えるにあたり、今までの道のりを一人静かに振り返っているようです。灯された明かりは、これまでの経験から得た知性と貪欲な探究心を表します。

キーワード

正位置 – Upright –
熟考/思考/秘密/助言者/探求/慎重/細く続く/真理の探求/非社会的/内向的/精神性/内観/瞑想/精神的隠遁/成熟/冷静/油断のなさ/用意周到/識別力/審美眼/黙想/哲学的洞察/意味の探求/魂の充足/知恵/賢さ/控えめ/一人の時間/哲学/修行する/仙人
逆位置 – Reversed –
卑屈/偏屈/恐れ/陰険/皮肉/隠し事/隠居/湿っぽい/軽率/疎外感/孤独/隠れる/過剰な警告/叡智の欠如/自己愛/臆病/寂しさ/引きこもり/撤退/廃止/未熟/保全/くすみ/根暗/殻にこもる/内向的/スランプ/鬱/沈黙/
英単語
Guidance. Seclusion. Wisdom. Discernment. Inner wisdom. Cleverness. Self-control. Awareness. Autonomy. Reliability. Discipline. Knowledge. Solitude. Prudence. Discretion. Withdrawal. Regression. Annulment. Chastity. Conservation. Self-evaluation. Alienation. Loneliness. Imprudence. Prematurity. Dullness. Impotence.
人物像
内に秘めた思いを軽々しく人に言わない。老人。孤高の賢者。

ケース別キーワード

case正位置逆位置
恋愛結婚までの道のり/精神的な恋/片思いでも思い続ける/実らなくても精神的に充実する恋/秘密の恋/不倫/独身を貫く/周囲の人には言えない関係/見守る愛情/プラトニックな関係/控えめな態度が吉 相手がいても心は孤独を感じる/想い続けても行動はしない/振られても好きな人を想い続ける/進展がないまま時間だけがすぎる/慎重になりすぎる/不器用や計算しすぎ/相手を思いやる余裕がない
仕事単独行動/独りになれる環境で仕事をする/研究職で成果を上げる/現役を退く/退職する/芸術など精神活動による仕事をする/水面下で仕事を進める/セラピスト/ヨガの講師/ベストを尽くすことが最善/頭が冴えている/アイディアが浮かぶ 夜間の仕事/仕事に意欲がわかず引きこもりがち/職場で疎外感を覚える/協力者がいない環境で作業をする/研究の成果が見られない/的はずれな努力/分析力に欠ける行動/細かいことにこだわりすぎる/アドバイスを無視する
その他細心の注意をはらう/経験による知恵/精神的な充実に重きを置く/老後について考える/終活について考える/静かに晩年期を過ごす/探しものをする/世俗的なものと距離を置く/一人の時間を大切にする/静かな空間/流行に流されない/結論を急がず慎重に進む/過去の経験を振り返るチャンス到来/ヨガの達人 経験から学ばない/他者の支援を受け入れない/偏屈者に見られる/老化による体調の変化/孤独感や疎外感を覚える/探しものが見つからない/心を閉ざしている/現実逃避する/我慢するとき/神経質になってこだわりが強くなる/経験のなさからの失敗/上から目線で周囲から浮く

正位置での意味

隠者の正位置は、自分の内面と向き合うことで自分のやりたいことが明確になり、その道を静かに進んでいけることを意味します。人より目立つことや、認められることにだけ価値を見出しても意味がありません。自問自答を繰り返して進むべき道を見極める時期が訪れています。自分と他人は違うこと、見てる人は見てくれていること、そのことを胸に自分の信じる道を突き進みましょう。深い思考により道がひらけます。

その道を進む過程は、周囲に人がいるというよりも一人で淡々と進むイメージです。ということは、もし間違った道を進んでいたら、自分で気づいて自分自身で軌道修正をする必要があるということです。自分と静かに向き合えれば、これまでの経験からくる感性があなたの進むべき道を照らしてくれるでしょう。

ならびに、騒がしい世の中から距離を置くことで、今まで見えてこなかったものが見えてくることを暗示しています。孤独と沈黙の時間によって、思考がまとまりやすくなります。忍耐強く、用意周到にしていれば、これまで以上の広い視野で物事を見つめることができ、精神的な豊かさを手に入れられるでしょう。

今は物事を探求していくのに適した時期なので、一人黙々と勉強することもおすすめです。周囲からは引きこもりだとか、現実逃避をしているように見られるかもしれませんが、そんなことは気にせず一人の時間を贅沢に過ごしてみてください。

もし、心を閉ざすような出来事により周囲と距離を置いている状況だとしても、一人の時間を大事にすることで徐々に心の傷は癒えてきますので自分を攻めずに焦らずじっくり様子を見ましょう。

リーディング例

愛に関して占った場合
隠者の正位置は、心の深いところでつながっていられる関係性を暗示します。その人は、昔から知っているような懐かしい感覚を覚える相手かもしれません。また、相手の気持ちを尊重できる懐の深さを持ち合わせている場合にも、このカードが出ます。自分の発言が意外と相手の心に響くことも示唆します。もしくは、自分自身や人生哲学などについて探求するために、一人でいる時間が必要だと感じているかもしれません。そのため、誰かとの共存や誰かと共に歩む人生を考えられない状況を暗示する場合もあります。パートナーとの関係を解消し、独立または自立する必要性を示すこともあります。
勉強や仕事に関して占った場合
隠者の正位置は、目の前の仕事に全力を尽くすこと、「ベストを尽くそう!」とひたむきな姿勢で取り組める状態を暗示します。きっと良い成果を挙げられるでしょう。自分のペースを乱さず粛々と進むことが鍵になります。また、仕事で慌ただしい日常から距離を置くことで、精神的平穏が得られることを意味することもあります。あなたは孤独、知恵、内なる平和を求めているかもしれません。このカードは、独立して仕事や会社を辞め、自分の道を歩むことも意味します。自分の誇りを大事に取り組むべきときです。
お金に関することで占った場合
隠者の正位置は、金銭的なことよりも信頼や名誉に重きを置いたほうが、結果的にいい方向へ向かうことを暗示します。几帳面で計画的な金銭感覚が成功をもたらすでしょう。無理をせず、マイペースに、身の丈にあった収支を心がけることで精神的な安らぎを得ることができます。また、金融問題に関する知識を探求することを示す場合があります。隠者のカードは、あなたより賢い、またはあなたより経験のある人のことを指しており、その人へ助言を求めることで事態が好転していくことを意味する場合もあります。また、霊的な道を歩むために物質的なものから離れることを表すこともあります。

逆位置での意味

隠者の逆位置は、あなたが神経質になっていて凝り固まった思考になっていないか問いかけています。こだわる必要がないことにこだわっていたり、視野が狭くなって分別や常識の欠いた言動になっていないか自分を客観的に見つめ直してみましょう。また、何に対しても疑り深くなっていたり、軽視してしまっていないでしょうか。自分の殻に閉じこもったままだと状況は良くなりません。

隠者は、熟考できる経験豊富な人物を表しますが、自分を過信しすぎて相手を見下すような言動になっていたり、人に対して説教臭くなっている可能性もあります。人ぞれぞれ考え方に違いはあるし、短所の裏には長所が隠れているものです。そのことを頭に入れて、相手を敬い尊重しましょう。そうすることで今まで見えてこなかったものが見えるようになり、次第に視野も広がるでしょう。

ならびに、日常の忙しさにまみれてしまい、自分が心からやりたいと感じていることをやれない状態を示唆することもあります。そのせいで目標を定めることができず、面白みのない日々をやり過ごしているな…と感じでいませんか?少し休息をとって瞑想するなど、リラックスしてみましょう。自分のやりたいことをすぐに見つけられなくても、心に余裕が生まれることで、自分の進むべき道がわかってくるはずです。問題から距離をとり、静かな時間を過ごすことで広い視野が持てるようになります。

あるいは、人に対して心を開けず、他者のアドバイスや働きかけを聞き入れようとしない状態を表しているかもしれません。頑なな心を解きほぐすために、謙虚で素直な気持ちを取り戻す必要があります。

リーディング例

愛に関して占った場合
隠者の逆位置は、異性に対して慎重になりすぎることや、不器用さや計算高さが裏目に出ることを暗示します。また、やきもちを焼きすぎて一人モヤモヤしてしまい、険悪なムードを醸し出してしまう可能性もあります。必要以上に相手を干渉してしまう可能性も示します。もしくは、自分やパートナーとの関係に向き合うことを避けるために、恋愛以外の社会的活動に時間を割こうとするかもしれません。場合によっては、ロマンティックな状況での失望や、満たされない関係のままズルズルと続いていくことを意味する場合があります。
勉強や仕事に関して占った場合
隠者の逆位置は、あなたが直面している問題を整理するために、一時撤退して物事を熟考し直す必要があることを示しています。忙しくすることで気を紛らせるのは間違った解決方法です。今は自分の内面と向き合い、静かな精神状態を取り戻すことが先決です。また、安定した仕事を手放し、一人で仕事しなければならない状況になる場合にもこのカードが出ます。細部にこだわりすぎてしまい、全体を把握できず失敗してしまうことも示唆します。
お金に関することで占った場合
隠者の逆位置は、へそくりや秘密裏に進めていた貯金の存在がバレる可能性を暗示します。また、細かい金銭にこだわって大金を逃すことも示唆します。自分の取り分を主張しすぎることで損したりして、自分の卑しさが裏目にでることが多々あるかもしれません。このカードは、あなたが過度に用心深いことを示唆しており、そのことが自分の首を絞めることになる可能性があります。また、周囲からのアドバイスに耳を傾けない姿勢を表しているかもしれません。霊的な世界を重んじるあまり、物質的(お金)な世界に対して否定的になっていることを表すこともあります。

カードを読み解くポイント

隠者のカードは、忙しない日常から離れて孤独な時間を過ごすことを暗示します。積極的に動くより、自分の内面を見つめて静かな時間を過ごすことが必要だと告げています。これは悪い意味ではなく、自分の創造性を生み出すために外部の雑音を遮断するためです。はたから見れば”引きこもり”や”スランプ”なのかな?と思われがちですが、新しいステージに移行するために充電しているだけだと思って、他人の目は気にしないようにしましょう。

基本的に、人は現実的なこと(生活のため、お金のため…など)を理由に働きます。働くことは、他者に貢献することで、自分自身が充実感を得るためでもあるのですが、他者のために自分の限りある時間を消費していることに代わりありません。時には、自分のためにたっぷり時間を使ってみてもいいとは思いませんか?自分に時間をかけるということは、自分を尊重し、自分の価値を高めることにもつながります。そうすることで、自分をよりグレードアップすることができ、結果的に、今まで以上に社会へ貢献できるようになります。一石二鳥です。

隠者のカードは、時間をかけて物事にあたることを暗示しています。また、人物に例えると「老人」や「熟練した人」を暗示します。マイナスな意味では、古いやり方にこだわり過ぎて孤立すること、新しい流行や新しい可能性に目を向けようとしない人を意味します。

カードの意味を更に深く考察

隠者はランタンをもっていますが、タロットデッキの種類によっては持っているものが異なります。マルセイユ版のタロットデッキでは、ランタンではなく砂時計を持っています。これは文字通り「時」を象徴するのですが、隠者のカードは何事に対しても時間をじっくりかけることを意味します。※いつから砂時計がランプになったのかは不明です。

”自己の内面を見つめる”という意味から考察すると、隠者は2.女教皇(女司祭)や「5.法王」のような宗教的意味合いがあるかと思いますが、そうではありません。隠者は、基本的に単独行動であり、教会のように人々が集う組織とは無関係で、孤独な生活の中で自分を見つめようとします。世俗的なことへの関心もなく、森や砂漠といった静かな自然の中で生活するイメージで、まるで仙人のような人物と言えるでしょう。

隠者は案内人のような役割も果たしますし、次なるステージへの移行の時期を意味することもあります。瞑想や精神分析などの内省を通して、自分の魂に秘められた可能性を掘り起こそうとします。

隠者が持っているランタンの中にはヘキサグラム(六芒星)の形をした明かりが見えます。これは、無意識の精神を活性化するという意味が込められています。上向きの三角形と下向きの三角形が合わさってヘキサグラム(六芒星)の形となりますが、錬金術では上向きの三角形は「火」を表し、下向きの三角形は「水」を表します。これは男性性と女性性の統合も意味します。

ここで、タロットカード一覧のページで分けたグループを交えて考察をしていきます。現実レベルと精神レベルのカードの並びを上下で見比べていくと、男女反転の現象が見られます。どういうことかと言うと、現実レベルの2枚目は2.女教皇(女司祭)で性別は”女性”、精神レベルの2枚目は隠者であり性別は”男性”です。どちらのカードも精神性や内面を静かに見つめることを意味しています。隠者のカードが逆位置で出た時は、2.女教皇(女司祭)の逆位置が現実世界への恐れを意味するのと同じように、隠者も他者への恐れを表します。

隠者のカードナンバーは「9」で、この数字を数秘術で見ていくと「直感」や「究極の理想」「教える」などの意味があります。

ウェイト版の絵柄から読み解く

隠者が携えている長い髭は、彼が老齢であることを物語っています。老齢な割に隠者の背筋はきれいに伸びています。これは、意思の強さやまっすぐな信念を表します。

隠者がまとっているマントは、世の中の常識や既成概念から身を守り、世俗的なものから距離をとるための”バリア”的な役割を果たします。マントは何かを包み込んだり隠したりする時に用いられるものです。

隠者が手にしている杖は、強い意思や忍耐力を表すアイテムです。どんなに辛くても、杖をついて踏ん張ることで前に進むことができます。困難を乗り越えるために、または人生という名の山を登るために必要です。また、この杖はワンドの棒でもあります。静けさの中にも次のステージに向けた情熱を示しています。

隠者が手に持っているランタンの光は「知性」や「意識」を表します。隠者はこのランタンの光、いわゆる”自分の経験から得た知識”や”目的を達成するための強い意思”を頼りに暗闇の中を進んできました。ランタン自体は、隠者が案内人であり、心の師となり導いてくれることを意味しているのかもしれません。隠者の足元を見てみると、山頂に到達しているように見えます。これは、探求の終わりを表していて、精神の旅にゴールしたことを意味しています。

隠者のカード全体はグレーの色味が印象的です。グレーは白と黒の混合色であり、白の「純度、全体性、保護」と黒の「パワー、無意識、追放、知恵」が合わさっています。

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